ryutaro108

夏の工事現場はきつい。
特に、閉め切られた場所での作業は殺人的だ。
容赦なく男達の身体を搾る。
しかしそれと引き換えに、どの男も精悍な顔つきとなる。
たまに魂ぬかれたような顔しているヤツもいるが、そういう男はケガが多い。
オレは10数年工事現場にいた。
どの夏も激しく暑かった。
だが、一年の内に、夏を通らなければ、その年の男としての根性の量のような物

が欠けるような気もしていた。


汗の量がものすごい。
作業着がグッショリだ。ほとんどの連中が昼時にTシャツを着替える。
外食じゃなく、現場の弁当を食う時、必ず500mlのお茶を必ず2本買った。
1本はふつうに、もう1本は弁当食う前にいつも一気した。
これほどの汗の量がでる夏の工事現場だったが、この時期にしかない最高の快

感があった。


「よし、やろう」
オレのかけ声で午後3時の一服が終わる。
みんな立ち上がってジュースを飲み干し、持ち場に戻っていく。
そこからなのさ、そこからが、大事だゼ。
最高の快感へ向かって、段取り八分が始まる。
その後オレは、家に着くまで一切水分をとらない。
なぜ!?なぜってわかるじゃんかよ。
うまいビールを飲むためさ。


日も暮れかかった7時頃、家の前にバイクでギュギュンと到着。
鍵を突っ込み扉を開けブーツを脱いで冷蔵庫の扉を開ける。
そして冷やしてある缶ビールを!
どうするかって?
冷凍庫に入れ換えるのさ。
そしてどうするよ。
さっぱりするさ。シャワーを浴びる。
肩にバスタオルで出てくると、そこで冷凍庫を「ガチャ」さ。
さっき入れた缶ビールを取り出す。
それと一緒に、朝から入れてあるグラスも取り出す。
こっちの方は氷のようにカチンコチンだ。
そして缶ビールを「ブシュ」と開けたらもう大変、のどカラッカラが最高潮だ。
グッとこらえながら、右手、左手で肩をいからせ、缶ビールをグラスに
ゆっくり傾ける。
氷になる直前のビールが、ゆっくりグラスに流れていった。
トロトロだ。泡はわずかに薄く1ミリくらい。
凍っていたグラスは、サーっと表面が透けてくる。
それにゆっくり口をつけると、次の瞬間、一気に胃の中に流し込む。
「ウオー!」
そこで当然、こぶしが天井に向かって高くあがる。
脳天直撃のこのうまさ。
これは人間が感じる事のできる最高の快感の一つに違いない。
「はあ~」と一息つくと、いつも思った。


夏の現場は激しく暑かったが、あのニトロのようなビールは、激しくうまかった。

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(via neetria)